Episode.8 Beyond the Door
11-year-old Jack and his older sister Nancy found themselves trapped in a room with a monitor, where the quizzes appear. Seemingly, they have to answer them using their knowledge, intelligence and vocabulary.
![In-the-Room-Ep.8-1 In-the-Room-Ep.8-1](https://english-artworks.com/wp-content/uploads/2023/04/In-the-Room-Ep.8-1.png)
Nancy: “Okay. Give me the idioms.”
Jack: “Don’t you remember? What a poor memory of yours.”
![In-the-Room-Ep.8-2 In-the-Room-Ep.8-2](https://english-artworks.com/wp-content/uploads/2023/04/In-the-Room-Ep.8-2.png)
“Of course I remember.”
“Then it’s my turn!”
![In-the-Room-Ep.8-3 In-the-Room-Ep.8-3](https://english-artworks.com/wp-content/uploads/2023/04/In-the-Room-Ep.8-3.png)
“Here it is! It’s ‘chicken’!”
“Hmm. I forgot you’re so good at those kind of puzzles.”
“Then your memory issue still exists.”
![In-the-Room-Ep.8-4 In-the-Room-Ep.8-4](https://english-artworks.com/wp-content/uploads/2023/04/In-the-Room-Ep.8-4.png)
“Yesss!”
“…So, how can we get out of here?”
![In-the-Room-Ep.8-5 In-the-Room-Ep.8-5](https://english-artworks.com/wp-content/uploads/2023/04/In-the-Room-Ep.8-5.png)
“Wait, is there a door in this room?”
“Here! I just found it. Come on! I’m opening it!”
![In-the-Room-Part2 In-the-Room-Part2](https://english-artworks.com/wp-content/uploads/2023/04/In-the-Room-Part2.jpeg)
“…Where the hell is this place?”
“…I have no idea.”
“And what did he mean by ‘next trip’?”
“I have a bad feeling. Hope there’s no monitor around here…”
![In-the-Room-Ep.9-1 In-the-Room-Ep.9-1](https://english-artworks.com/wp-content/uploads/2023/04/In-the-Room-Ep.9-1.png)
“…There it is.”
“Shit.”
【解説】アナグラム
文字を入れ替えて別の単語を作る遊びを「アナグラム」と呼びます。listen ↔︎ silent のように、同じ文字を別の並べ方で意味が通るように並べることです。濁音や半濁音を加えると50音以上ある高度な我が国の言語では、同じ組み合わせの文字を持つ複数の単語を見つけること自体が難しいですが、26文字しかないイージーな英語では比較的容易に作ることができます。
日本で最も有名な英語のアナグラムは、「ハリー・ポッターと秘密の部屋」で明かされる You-Know-Who の本名ではないでしょうか。20年以上も前の映画なので躊躇わずにネタバレをさせていただくと、彼が嫌っている自身の本名 “Tom Marvolo Riddle” をアナグラムすると “I am Lord Voldemort” になる、というのがオチでした。個人的には、Tom Riddle もなかなかミステリアスでいい名前だと思うんですがね。なぞなぞみたいですし。
日本語の例も紹介しておきましょう。漫画「名探偵コナン」の20巻で登場する小太りの青年の名前「土井塔克樹」は、彼の正体である「怪盗キッド」のアナグラムです。「つ」の大きさが変わっているじゃないか、というのは気にしないことにします。先述の通り、日本語でアナグラムを作ることは並大抵の士業ではないのです。「っ」と「つ」くらい入れ替えてもいいでしょう。
このように人名で使われがちなアナグラムですが、英語ではごく普通の単語の組み合わせから、面白いアナグラムが作られています。その中でも、筆者が特に感動した8つをご紹介します。
1. astronomer
astronomer「天文学者」
↔︎ moon starer「月を眺める人」
古代以前の天文学者は、地上から肉眼で観測することしかできず、月をただぼんやりと眺めていることも多かったのかもしれません。しかし、文明の利器である望遠鏡が発明された中世以降では、その関心は徐々に遠くの天体へと移っていきました。現代で月を見つめるのはもはや天文学者ではなく、皆既月食やスーパームーンの度に騒ぎ立てるミーハーな一般人でしょう。
2. funeral
funeral「葬式」
↔︎ real fun「マジで楽しい」
葬式という哀傷の儀式が楽しくなることは滅多にありませんが、誰のための式なのか、というのを考えてみれば、葬式を痛哭の場とする必要はないかもしれません。故人の想いを最優先とする場合でも、残された人に自分の旅立ちを嘆き悲しんでほしいと思っている人はそう多くないでしょう。まして遺族のための式とするなら、故人の門出を祝し元気よく送り出してあげるのがいいでしょう。久しぶりに集まった親戚と一緒に泣く必要なんてないのです。葬式は real fun な場所にしてもいいかもしれません。
3. butterfly
butterfly「蝶」
↔︎ flutterby「蝶」
どちらも同じ生物を表すアナグラムです。珍しいですね。
というのもそのはずで、後者は前者の子音 b と fl を入れ替えて作られています。これは語音転換(Spoonerism) と呼ばれる言葉遊びや言い間違いの一種です。
Wikipedia には、元米大統領である子ブッシュのこんな言い間違いが載せられています。
“the terriers and bariffs” (the barriers and tariff)
—George Walker Bush
英語を母語とする彼が演説で起こした語音転換は、間違いを恐れがちな英語学習者に大きな安堵をもたらしました。
4. vacation time
vacation time「休暇期間」
↔︎ I am not active「活動しません」
休暇を活動的に過ごすか、というのは人によって異なりますが、休日に仕事の連絡が来てうんざりする、というのは多くのビジネスマンに共通なはずです。「休日に悪いんだけど、」とか前置きするくらいならメールしてくるな、と思いつつも丁寧に返信してしまうフルアクティブな社畜体質は、まさに日本人らしいと言えるでしょう。
5. a Monday morning
a Monday morning「月曜の朝」
↔︎ man in angry mood「怒っている男」
月曜の朝は総じて憂鬱なものです。特に、休日返上で働かされた次の月曜には、誰にも向けられない怒りという時限爆弾を抱えながら仕事することになります。現代の厳しいコンプラ社会においては、同僚や部下に当たり散らそうものなら、自分のクビについた起爆装置が起動してしまいます。解除しようとしても、社内に気の利く優しい爆発物処理班がいることはまれです。自分の爆弾は自分で処理するしかないのです。
6. eleven plus two
eleven plus two「11 + 2」
↔︎ twelve plus one「12 + 1」
どちらも同じ結果になる、気持ちのいいアナグラムです。しかしながら、答えの「13」という数字は、あまり気持ちのいいものではありません。13が不吉とされるエピソードは様々ありますが、最も有名なのはやはり、キリストが磔にされた「13日の金曜日」ではないでしょうか。英米では、“friggatriskaidekaphobia” (13日の金曜日恐怖症) という病名があるくらい恐れられているようですが、怖いのは日付ではなく、この長い単語の字面の方な気がします。
7. forty five
forty five「45」
↔︎ over fifty「50より大きい」
当たり前のことですが、45 は 50 より大きくはありません。2倍したり5で割ったりしてみても、大小関係はもちろん変わりません。この矛盾したアナグラムを正当化したければ、無理やり minus をつけてあげるしかないでしょう。
8. coronavirus
coronavirus「コロナウイルス」
↔︎ carnivorous「肉食性の」
人類史に大きくその名を刻んだ COVID-19 は、多くの命を奪ったという点において肉食性と言えるでしょう。一方で、ヒト以外の動物に感染しにくいことを考えれば、carnivorous より cannibalistic「人食性の」の方が適切かもしれません。もっとも、ウイルスは殺した命を養分とはしないので、ジャック・ザ・リッパーのような大量殺人鬼と同じ扱いになるでしょうか。
おわりに
今回の記事はかなり物騒なものになってしまいました。泥棒や爆弾、殺人鬼、ヴォルデ…おっと、口にしてはいけませんね。
ちなみに前半のストーリーの方は、次回から舞台が変わります。コミカルな仕上がりはそのままなので、気軽に読んでいただければと思います。こちらは魔法のお話ではありませんが、物騒な事件も起こらないはずです。きっと。
参考文献・Webサイト
Cambridge Dictionary (https://dictionary.cambridge.org/)
Collins Dictionary (https://www.collinsdictionary.com/)
Oxford Learner’s Dictionaries (https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/)
The Free Dictionary (https://idioms.thefreedictionary.com/)
Wikitionary (https://en.wiktionary.org/)
Grammarist.com (https://grammarist.com/)
Wikipedia (https://en.wikipedia.org/)
英辞郎 on the Web (https://eow.alc.co.jp/)
Weblio英和辞典 (https://ejje.weblio.jp/)
使用ツール
ChatGPT (https://chat.openai.com/)